入院治療を受けられる方とは

当院に入院するにあたっては、まず外来での診察があり、その結果「精神的疾患が認められ且つ入院治療が適切である」と診断された方のみ入院治療を受ける事が出来ます。



<入院の形態>

【任意入院】

患者さんご本人の意思で入院する一般的な入院です。

【医療保護入院】

精神保健指定医(精神科での経験が豊富で人権について十分理解していると厚生大臣が認めた医師)の診察により、入院治療が必要と診断された場合は、患者さんご本人の同意が無くとも保護者の同意で入院治療を行う事があります。
患者さんの年齢等に応じて同意できる保護者の資格は次の通りとなります。 
20歳未満の方   
両親(親権者)の同意によって入院します。  
20歳以上で未婚者の方   
指定の診断書を添えて家庭裁判所で保護者の選任を受け、その方の同意で入院します。
保護者は患者さんの扶養義務者(父母、祖父母、子、孫、兄弟姉妹等)の内から1名を選びます。  
20歳以上で既婚の方   
配偶者(夫、妻)の同意により入院します。

【措置入院】

県知事の依頼により2名の精神保健指定医が診察を行い、その結果精神障害のために自らを傷つけ、または他人に危害を及ぼすおそれがあると診断された場合に、県知事(政令都市では市長)の命令により入院します。

入院治療

<主治医について>

入院後の主治医は外来担当医から病棟の担当医に変わります。病棟が変更になった場合には、変更後の病棟担当医が主治医となります。

<治療について>

治療は医師の精神療法と向精神薬(精神安定剤、抗うつ剤、抗不安剤、抗てんかん剤など)による薬物療法、作業(レクリェーション)療法、生活指導等が、病状にあわせて平行して進められます。

【精神療法】

一般に言うカウンセリングです。 主治医が随時病状に応じて行っています。またケースによっては、臨床心理士が心理検査(性格検査、知能検査等)を実施したり、カウンセリングを行うこともあります。

【薬物療法】

興奮をしずめ、幻覚・妄想などを取り除き、健康な感情の回復に有効です。症状により増減し、種々の症状を改善します。

しかし、薬物には副作用(手足のふるえ、筋肉のこわばりなどのパーキンソン症状、口喝、便秘、眠気など)が出現する事があります。この為入院時及び定期的に血液・尿検査、心電図、頭部・胸部レントゲン検査などを行い、副作用の早期発見・治療にこころがけます。

内科疾患の併発については、内科医の診察が受けられるようになっています(歯科医の診察も行っています)。

具体的に入院患者さんの半数以上をしめる統合失調症について説明致します。興奮や幻覚・妄想(陽性症状といいます)の強い急性期は、主に薬物療法と休養が治療の要となります。 一般には1〜2ケ月で症状が軽快ないし消失し、その後回復期に向かう時期や一時的に気持ちが沈み込んだり(抑うつ的となる)意欲が出ず動きの少ない時期を経る事もありますが、次第に活気が認められる様になります。この時期が作業療法、レクリエーション療法の必要な時期であり、病棟でも規則正しい生活へのアドバイスを始め、家庭への外出〜外泊を勧めます。従って多くの場合、2〜3ケ月で退院が可能となります。

しかし、時に意思や感情面の回復が遅れ、幻覚・妄想は消失しても活動する事への意欲がなく、周囲への関心や興味が薄く、感情の鈍さ(陰性症状)が残る場合があります。また、発病してから長期経過している場合、同様の症状が強い患者さんもみられます。このような場合は、意欲や感情の賦活の作用を持つ向精神薬を用いますが、やはり次に述べる作業・レクリェーション療法、社会復帰訓練が、もう一つの重要な治療となります。

【作業療法、レクリェーション療法】

作業療法士を中心に患者さんの早期退院と再発予防の為、作業療法室や各病棟のラウンジ、グラウンドなどで行います。各々の患者さんの症状に合わせて、適切なプログラムを選んで治療を進めます。

個人活動として絵画、書道、音楽鑑賞、ワープロ、将棋等、また、グループとして園芸、料理、エアロビクス、ゲートボール等のスポーツ、社交ダンス、カラオケ等などのプログラムがあります。また病院行事として納涼祭、運動会、クリスマスコンサート等を催して気分転換をはかり身体を動かすと同時に周囲への関心を引き出し、対人関係を円滑にし、社会復帰への種々の力を養う為の援助をしてゆきます。

【服薬指導】

薬物療法については、副作用が大きな問題となっている現在、種々のご心配があろうかと存じます。

当院ではその都度主治医が説明にあたっていますが、薬剤師も直接患者さんのもとへ伺い相談や指導を行い、不安の解消に努めています。

【栄養指導】

糖尿病や高血圧、高脂血症等の病気をお持ちの場合は、必要に応じて管理栄養士により栄養指導を行います。

<退院と外来通院>

閉鎖病棟(急性期病棟)から直接退院となる場合もありますが、陽性症状が改善し、開放病棟に移って引き続き陰性症状の治療を行い退院となる事もあります。
閉鎖病棟(急性期病棟)→開放病棟(慢性期病棟、社会復帰病棟)→退院→外来

 向精神薬は相当長期にわたり服用しなければならない場合が多いので、退院後は必ず通院医療を受けるようにして下さい。退院時に1〜2週間分のお薬を差し上げますが、その後は2週間〜4週間に1度の割合で通院する事になります。
 また、社会復帰援助や病気の再発防止を目的にデイケアセンターや作業療法課のリハビリテーション施設へ通院していただく場合もあります。各施設ではそれぞれ独自のプログラムを用意し、出来るだけ多くの患者さんの症状や性格にあうよう工夫しています。詳細については主治医にご相談下さい。
以上統合失調症の患者さんを中心に説明致しましたが躁うつ病、精神発達遅滞、人格障害等もほぼ同じような内容で治療、療養が行われます。


デイケアについて

 退院後、働きたいが自信が無い、勤めたが長く続かない、他人との付き合いがうまく出来ない、家にいても用事が無いのでついつい朝寝坊したり昼間ゴロゴロ過ごしてしまう。こういう方々のためにデイケア施設があります。朝、来院し午前中は委託された内職作業やカラオケ、ゲーム等を行います。午後は陶芸や革工芸等の創作活動やバレーボール等のスポーツプログラムがあります。
 また、サイコドラマや社会生活技能訓練等も取り入れ効果的な社会復帰の援助を行うほか、個人的な相談やご家族の援助も行っています。
藤沢駅よりの送迎、給食サービスも行っています。 問い合わせは主治医または直接デイケアへご連絡下さい。

訪問看護について

身の回りのことや生活のリズムがうまくつかめない、ご家族がうまく患者さんを支えきれない、家族間でうまくいかない、交通機関の利用方法や役所などの公的機関のサービス内容がよく分からない等、在宅での療養上の諸問題に看護師や精神保健福祉士が月に1〜2度、ご自宅にお伺いし援助を行う訪問看護を実施しております。費用は健康保険が適用になりますが、交通費は患者さんのご負担となります。お問い合わせは主治医または外来看護師までご連絡下さい。

病棟での生活

 病棟は閉鎖病棟、開放(準開放)病棟と分けております。入院当初は、ほとんどの方が閉鎖病棟に(かえで2階、3階病棟)に入院し、症状が安定してきますと開放、準開放病棟へ転棟します。
<閉鎖病棟、開放(準開放)病棟共通の生活>
 各病棟にはラウンジにテレビやビデオが設置してあり、ほかの患者さんとのコミュニケーションの場として活用され、お互いの人間関係の円滑化に利用されています。また、公衆電話を設置してありますので、テレホンカードや現金で自由に電話をかける事ができますが、症状により制限する場合もあります。 入浴は週2回、病棟ごとに入浴します。また入浴のほかにシャワーが利用できます。
<閉鎖病棟>
 かえで2階、3階病棟等の閉鎖病棟では患者さんの安全、保護の目的で出入口はロックされており、自由に外へ出る事は出来ないようになっていますが、症状により院内の散歩程度が出来る場合もあります。
また、現金の自己管理はできませんが日用品など必要なものは伝票で購入し、患者預り金の口座より引き落とすようになります。
<開放病棟>
 患者さんの症状が軽快し基本的な日常行為が自立してきた場合は開放病棟へ転棟いたします。開放病棟では現金を所持し、自由に院内を散歩することが可能です。一般の病院と同じような環境と理解して下さい。
<洗濯について>
原則的にはご家族の方にお持ち帰り願いますが、各病棟にコインランドリーを設置してありますので患者さんご本人が洗濯を行う事も可能です。コイン式乾燥機もありますがなるべく天気が良いときに屋外で干すようにしています。
また、業者へ委託する事も可能です。月単位で枚数等に関係無く一定料金で委託出来ます。但し、高温で処理するため衣類の素材によっては洗濯できません。各病棟にパンフレットがありますのでご請求下さい。
<病棟等諸設備>

【公衆電話】

各病棟に公衆電話を設置してあり、一部はテレホンカードでの使用が可能です。

【歯科】

週に1回(主として水曜日)歯科診療を実施、入院中でも歯科治療が出来ます。

【理髪】

院内に理髪室があり理容師が調髪を行っています。患者さんの状態によっては、病室へ出張し調髪を行います。

【売店】

日用品、雑誌、お菓子や飲み物等を販売しています。病院で「日用品費」を管理している方は伝票でも買い物が出来ます。

【喫茶店】

喫茶、軽食を行っており近隣の一般の方々も利用しています。病院とは違った実社会での雰囲気を感じていただくため、病棟でレクとして利用する事もありま す。売店同様伝票での支払も可能です。

面会について

【面会時間】

午前10時30分〜11時30分
午後 1時30分〜 4時30分
 (平成18年7月1日(土)より)

【面会の手続】

入院受付にて「面会票」に必要事項をご記入のうえ、お申込下さい。受付より病棟へ連絡致します。
また、入院受付では患者さんのプライバシー保護の為、保護者の承諾無しにご家族 以外の方の面会をお断りしています。
お友達の方やお仕事の関係者が面会に来られる場合は事前に入院病棟のスタッフステーションへご連絡下さい。 面会時間以外は治療や食事、安静の時間となりますのでご遠慮下さい。

【面会の制限】

ご家族との定期的な面会は患者さんにとって喜びであり社会とのつながりとして大きな役割を持ちます。
しかし患者さんの状態や治療経過により面会の回数や時間を制限させていただく場合がありま す。いずれの場合も患者さんの状況に応じて主治医または看護師がご説明致します。

【面会の注意事項】

・病棟により現金、貴重品、(刃物、マッチ、ライターなどの危険物も)所持できませんのでご了承下さい。
・他の患者さんから、伝言や手紙などの依頼はご遠慮下さい。もし依頼された時は、スタッフステーションへご相談下さい。
・病棟によってはインスタント食品類、瓶入製品、ペットボトル類の持ち込みを制限している場合がありますので各スタッフステーションへご確認願います。
・生ものは面会中に食べられる量にして下さい。残りは必ずお持ち帰り下さい。

病棟への電話連絡

当院では、直接各病棟のスタッフステーションへ電話がつながるようになっておりますので患者さんへ連絡が必要な場合は看護師へ伝言するか、折り返し患者さんから公衆電話で連絡を入れて頂くようにいたします。